2013年4月7日日曜日

【感想文】下流志向/先人へのリスペクトは大事


内田樹先生の本。


下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
内田 樹
講談社
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何かを成そうとすればするほど、それとは真逆の状況に向かってしまうジレンマ。

その皮肉的な人間の性を非常にわかりやすく説明してくれる。





効率を求めれば求めるほど、非効率な結果が生まれる。

効率を求めるには非効率な方法を選択する方がよいという逆説。

効率を求め続けてきた結果生じた歪みを、僕らはこれから非効率な方法でなおしていかなくてはならない。






うーん。難しそうだ。




だけども、先人に学ぶことはできる。


最後の章で語られていた師弟関係のように、我々は先人をリスペクトしないといけない。


効率化を追い求め、世界がますます便利になり、無時間性が加速し、「我々は先人を追い越した」と思った瞬間災いが降り注ぐ。


僕らが感じている閉塞感は、そういった先人に対するリスペクトを忘れたからかもしれない。

社会全体が無時間性を求め、過去と未来の鎖をたちきり、孤立してしまったのではないか。

僕らは、その鎖を再び繋ぎ会わせなければならないのではないか。

内田先生が最後に語っていた、「21世紀は宗教的な時代になる」「宇宙の始まりから終わりまでのスケールでとらえる」とは、そういうことじゃないだろうか。


本書では、現状を見つめるという意味で、悲観的な内容でしたが、僕は「これから」という意味では、すこし楽観視してよいのではないかと思っている。

テクノロジーは、効率性、無時間性を加速させるかもしれないけど、その一方で非効率性、時間性を取り込もうとしている動きもある。



まだまだ十分でないかもしれないけど、気長に待とう。


今すぐの実現を求めてはいけない。

なぜなら、即時性を求めたとたん、僕らは効率性と無時間性の渦に逆戻りだ。



のんびり、楽しくやっていこう。

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